箱庭療法学研究
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外国語論文
前思春期における「私」の確立
「一人になること」の不安に怯えた9歳男児との心理療法
長谷川 千紘
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2022 年 34 巻 3 号 p. 63-72

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抄録

前思春期という時期は,子どもの心理から大人の心理への移行が生じる臨界点である。本稿では,一人になることの不安に怯えた9歳男児の心理療法のプロセスを示し,前思春期危機がどのように乗り越えられていったのかについて検討する。心理療法を通して,彼は個としての「私」を確立し,包まれていた世界からの自立を成し遂げたように思われる。この変容のために,彼はいったん混沌のなかに解体され,分離を経た結合のイメージにおいて新たな「私」が創造されなければならなかった。彼の子どもとしての存在様式は,暗闇へのイニシエーション,そして世界を取り巻く龍の内面化というイメージを通して決定的に変容されなければならなかった。このような試練を通して,彼は「意志する主体」になり,子ども時代をあとにしていったように思われる。

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© 2022 日本箱庭療法学会
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