2022 年 35 巻 1 号 p. 43-54
本稿では,不登校状態にあり家庭内暴力を呈した思春期女性に箱庭やMSSMを実施し,その心理療法の事例経過について検討した。クライエント(以下,A),セラピスト(以下,Th)と記載する。箱庭制作でAは,当初彼氏を女性のミニチュア玩具で表現していたが,途中から男性のミニチュア玩具へと変化し,子どももミニチュア玩具で表現し,新たな家族を作り,現実のイメージが交錯してミニチュア玩具自体が感覚を持つかのような体験がなされた。その結果Aは,心理的変容にもつながった。またMSSMでは,物語を作る中で気持ちを整理し表現する中で,Aの思い,つらさがThに伝わってきた。今回のケースは,不登校を「子どもの成長過程におけるつまずき」であるという捉え方をThとAの両親で共有し,「社会への再会段階」へ至ったことも大切であった。Aとイメージのやりとりをすることで,Aのイメージが豊かになり,箱庭やMSSMでのイメージが自己理解をするための有効な手段であったと示唆された。