産業衛生学雑誌
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医療機関職員の新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)ワクチン接種直後から約3ヶ月後及び9ヶ月後のスパイク蛋白特異的IgG抗体の保有状況についての調査
宮島 江里子今泉 弘押田 小百合五十嵐 敬子吉田 宗紀矢那瀬 信雄
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論文ID: 2021-039-B

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抄録

目的:医療従事者のコロナウィルス修復ウリジンRNAワクチン(ファイザー社製)接種後のスパイク蛋白特異的IgG抗体の抗体価の上昇の程度と経過日数による変化を調査し,今後のワクチン普及の際の参考資料とする.方法:対象医療機関において,ワクチン接種直後–3ヶ月後に当たる2021年4–5月の定期健診時に,本研究に同意をした293人のスパイク蛋白特異的IgG抗体検査(アボット社)と,ワクチン副反応についてのアンケート調査を実施した.年代毎の抗体価,接種後日数と抗体価について集計した.抗体価 4,000 AU/mL以上(Probability of high titer:約95%,Abbott社)と,ワクチン接種後の各副反応と関連があるかを検討した.追加調査(1)として,対象者のうち11人の2回目接種約100日後の抗体価を,追加調査(2)として対象者のうち13人の2回目接種約260日後の抗体価を再測定し,初回測定値と比較した.結果:対象者のうち,健診時において276人が2回接種後(A),14人が1回目接種後(B),3人が2回目中止(C)であった.抗体価の中央値は,グループAが11,045.8 AU/mL(50.7–40,000),Bは 122.7 AU/mL(2.6–1,127.0),Cのうち1人は既感染で 27,099.3 AU/mL,他2人は 574.2 AU/mL(283.3・865.1)であった.Aのうち,2回目から1週間以上経過した人は全て 1,000 AU/mL以上(Probability of high titer;約60%,Abbott社)であった.Aの抗体価中央値は,20代に次いで30代が高値であり,40歳未満と以上で有意な差を認めた.2回目接種15–30日後の人の中央値が最も高値であった.2回目接種後の倦怠感(≧中程度)が,抗体価 4,000 AU/mL以上と関連を認めた.2回目接種約100日後の11人の抗体価,約260日後の13人の抗体価は初回測定時より有意に低下し,中央値は各々 2,838.0 AU/mL(832.9–5,698.6),512.0 AU/mL(154.0–1220.0)であった.結論:40歳未満では40歳以上に比べて抗体価は高値であった.2回目接種後の倦怠感の強い人に抗体価 4,000 AU/mL以上となった割合が高かった.2回目接種後の抗体価のピークは約1ヶ月前後でその後徐々に低下する可能性が示された.

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