産業衛生学雑誌
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メンタルヘルス不調者の出社継続率を91.6%に改善した復職支援プログラムの効果
難波 克行
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論文ID: E12001

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抄録

目的:メンタルヘルス不調者の復職支援の効果を定量的に評価するために,異なる復職支援プログラムにおける復職後の出社継続率と費用対効果を比較調査した.方法:ある企業においてメンタルヘルス不調者に対する新旧2つの復職支援プログラムを実施し,旧プログラムで復職した142例,新プログラムで復職した54例,計196例を対象に分析を行った.新プログラムには,(1)生活記録表を用いた復職判定,(2)6ヶ月間の段階的な復職プラン,(3)定期的な産業医面談,(4)全社復職プラン検討会などを盛り込んだ.結果:新プログラムの休業期間は中央値で60日ほど長かったが,復職1年後の出社継続率は54.2%から91.6%へと改善し,復職後1年間の生産性も6,226,192万円から8,418,514円へと改善した.復職支援にかかった費用は65,945円から300,898円と増加した.経営者の視点から費用便益分析を実施したところ,本取り組みの投資収益率(ROI)は933%であった.結論:復職後の再発を予防するためには新しい復職支援プログラムが効果的であることが示唆された.

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© 2012 公益社団法人 日本産業衛生学会
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