産婦人科の進歩
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臨床研究
非妊娠時の体重別にみた妊娠中の運動習慣の実態調査
鈴木 史明庄野 明子富山 俊彦小野 雅昭谷口 武谷口 定之
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2006 年 58 巻 2 号 p. 120-129

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抄録

 妊婦の妊娠直前BMIを考慮した運動指導の報告は少ない.やせ群(BMI<18.0),適正群(18.0≦BMI<24.0),肥満群(BMI≧24.0)別に運動習慣を調査した.初産婦の運動習慣を有する率は68.2%,経産婦は38.5%である(p<0.01).経産婦の運動習慣は主婦で40.7%にあり,有職者で24.5%にある(p<0.01).どの群でも約9割でウォーキングを選択している.ウォーキングはすべての群にもっとも受け入れられる運動である.1日の運動時間は1時間未満の妊婦がもっとも多く,肥満群では2時間以上の運動をしている妊婦がいなかった.肥満群では「運動が苦手」という妊婦が多い.肥満妊婦には短い時間の運動が適している.初産婦では「一緒にする仲間がいない」妊婦が多い.運動阻害要因として,経産婦,仕事,肥満,情報不足が考えられる.このことから,時間がなくても,いつでも,どこでも可能なウォーキングが推奨される.単なるウォーキングよりもスイミングやジョギングでは消費エネルギーが多い.そこでわれわれは速歩きであるマタニティパワーウォーキングを推奨している.妊娠中に運動しなかった妊婦のうち71.0%が運動したいと考え,肥満群では初産婦が全員運動したいと考えていた.これらの妊婦に対して適切な情報を提供していかねばならない.妊娠中は他の時期に比べて運動習慣を有しやすい.妊婦の運動習慣を有する率を高めることによって,生活習慣病の予防につながると考えられる.〔産婦の進歩58(2):120-129,2006(平成18年5月)〕

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© 2006 近畿産科婦人科学会
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