産婦人科の進歩
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症例報告
形成術および術後エストロゲン軟膏塗布が奏効した閉経後陰唇癒着症の1症例
河原 直紀藤本 佳克丸山 祥代山下 健
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2013 年 65 巻 1 号 p. 46-50

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抄録

陰唇癒着症は後天的に左右の陰唇が正中で癒着する外陰部疾患である.低エストロゲン状態を基礎に,炎症や感染,外傷等が加わることにより発症するとされる.主に乳幼児期に発症し,成人期での発症は比較的まれである.今回,閉経後に発症した排尿障害を伴う陰唇癒着症の1症例を経験したので,若干の文献的考察も加えて報告する.症例は82歳.特記すべき既往歴はないが,高齢のため臥床傾向であった.肉眼的血尿と排尿時痛を主訴に当科に受診した.左右の陰唇が正中において癒着し,唯一認めたPin holeより尿や帯下の流出を認めた.また超音波検査にて膀胱巨大憩室と右水腎症を認めた.陰唇癒着症と診断し,局所浸潤麻酔下に剥離を試みたが困難であったため,腰椎麻酔下に剥離術およびHeineke-Mikulicz法を応用した形成術を行った.術後は再癒着防止のためエストロゲン軟膏の局所塗布を2週間行った.術後9カ月の時点で再癒着を認めていない.〔産婦の進歩65(1):46-50,2013(平成25年2月)〕

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© 2013 近畿産科婦人科学会
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