産婦人科の進歩
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症例報告
子宮筋腫術後に発生した肺転移を伴う良性転移性平滑筋腫の1例
秦 さおり川北 かおり小菊 愛伊藤 崇博奥杉 ひとみ近田 恵里佐原 裕美子竹内 康人片山 和明橋本 公夫
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2013 年 65 巻 1 号 p. 51-57

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抄録

子宮筋腫は平滑筋細胞の増殖を呈する良性の腫瘍とされ,転移をきたすことはまれである.しかし,なかには特殊な進展形式をとるものがあり,borderline malignancyとして子宮肉腫との鑑別に苦慮する症例が報告されている.今回われわれは子宮摘出後に肺転移を伴う平滑筋腫の再発を認めた良性転移性平滑筋腫(benign metastasizing leiomyoma; 以下BML)の1例を経験したので報告する.症例は42歳,1経妊1経産.30歳で子宮筋腫を指摘され,36歳時に前医でGnRHアゴニスト療法実施後子宮動脈塞栓術を受けたが,2年後再増大したため腹式単純子宮全摘術を施行された.その4年後,腹痛を訴えて受診した前医のMRI検査で後腹膜腫瘍を指摘され,多発性肺転移を伴うことが判明したため精査加療目的に当科紹介となった.開腹にて腫瘍を摘出し,平滑筋腫との病理組織診断を得た.血中エストロゲン濃度を下げる目的で両側付属器切除を併せて行ったところ,一時的に肺転移性病変の縮小を認めたが,血中エストロゲン濃度が再上昇し病変も増大してきたため,卵巣の一部残存が疑われ,GnRHアゴニスト療法施行中である.〔産婦の進歩65(1):51-57,2013(平成25年2月)〕

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© 2013 近畿産科婦人科学会
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