産婦人科の進歩
Online ISSN : 1347-6742
Print ISSN : 0370-8446
ISSN-L : 0370-8446
症例報告
妊娠後期に羊水過多症を呈し,児がSturge-Weber症候群であった1例
和田 あずさ大八木 知史宮本 真由子尹 純奈福岡 寛子坪内 弘明福田 綾筒井 建紀
著者情報
ジャーナル 認証あり

2018 年 70 巻 1 号 p. 31-36

詳細
抄録

Sturge-Weber症候群は,顔面のポートワイン母斑と脳軟膜血管腫を主症状とする神経皮膚症候群の1つである.今回,妊娠後期に羊水過多症を呈し,出生後にSturge-Weber症候群と診断された症例を経験したので報告する.症例は33歳,3妊2産.既往歴に特記すべきものなし.里帰り分娩目的に妊娠34週より当科にて妊娠管理を行っていた.妊娠35週ではAFI 20.3であり,児に異常を認めなかった.妊娠36週でAFI 28.6と羊水過多症を呈し,徐々に羊水量は増加し,妊娠38週にAFI 36.4となった.また推定体重は+2.3 SDとLGAも認めたため,誘発分娩を行った.妊娠39週0日,誘発分娩にて4078gの男児(Agpar score 1分後7点,5分後9点,臍帯動脈血液ガス pH 7.379,BE -2.3)を経腟分娩した.出生後より呼吸障害が出現したが,小児科医による蘇生処置により呼吸状態は速やかに改善した.しかし,児の顔面に巨大血管腫,左下顎に腫脹を認めたため,精査目的にNICU管理となった.頭部MRIにて左側頭葉に脳軟膜血管腫が指摘され,Sturge-Weber症候群を疑い,精査加療目的に日齢32に転院となった.転院先にてSturge-Weber症候群の診断のうえ,プロプラノロール内服治療開始となった.妊娠中に羊水過多を呈したSturge-Weber症候群の報告は稀であり,文献的考察を含め報告する.〔産婦の進歩70(1):31-36,2018(平成30年2月)〕

著者関連情報
© 2018 近畿産科婦人科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top