産婦人科の進歩
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症例報告
腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術を施行し術後に小細胞神経内分泌癌の診断に至った1例
江本 郁子安彦 郁池田 愛紗美鈴木 直宏渡部 光一宇治田 麻里天野 泰彰高尾 由美
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2020 年 72 巻 3 号 p. 266-271

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抄録

子宮体部原発の小細胞神経内分泌癌は,非常にまれで予後不良な疾患である.診断時にすでに進行している症例が多く,また早期に転移や再発をきたす.今回われわれは,類内膜癌G1, I B期の術前診断で腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術を施行し,術後に小細胞神経内分泌癌の診断に至った1例を経験したので報告する.症例は61歳,2妊2産.閉経後性器出血を主訴に来院.子宮内膜の肥厚を認め,子宮内膜吸引組織診では類内膜癌G1の結果であった.骨盤部MRI検査の結果,腫瘍は子宮筋層1/2以上の浸潤を認め, I B期相当と診断し,腹腔鏡下単純子宮全摘出術,両側付属器切除術,骨盤内および傍大動脈リンパ節郭清を施行した.術後の病理組織では腫瘍は濃染するクロマチンをもつN/C比の高い細胞の充実性増殖からなりロゼット構造が目立ち,免疫染色では神経内分泌マーカーであるCD56陽性,chromograninA一部陽性,synaptophysin一部陽性であり,小細胞神経内分泌癌の診断に至った.一部に子宮内膜異型増殖症の成分を認めた.再発高リスク群であり術後補助化学療法としてイリノテカン,シスプラチン併用療法を施行.今回,腹腔鏡下手術であったため,術後の回復も良好で,比較的早期に術後補助化学療法を開始することができた.〔産婦の進歩72(3):266-271,2020(令和2年8月)〕

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© 2020 近畿産科婦人科学会
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