山陽論叢
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教職員からみたコロナ禍での子どもとのかかわりへの 困難さとやりがいに関する研究
石橋 昭子
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2024 年 30 巻 p. 121-135

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抄録
本研究は、岡山県内の教職員 242 人からみたコロナ禍での子どもとのかかわりに関連し た困難さとやりがいについて明らかにすることを目的とした。調査は 2023 年 3 月に Google forms による Web 調査を実施した。教職員からみたコロナ禍での子どもとのかかわりの困 難さややりがいの自由記述において、最も出現回数が多かった語は「マスク」であった。ま た共起ネットワーク分析では、1 群は学校・保健室・利用等、2 群は授業・制限・行事等、 3 群は顔・表情・マスク等、4 群は出席停止・体調不良・欠席等、5 群は不登校・増える・ 感染症等の 5 群に分類された。内容分析では、教職員からみたコロナ禍での子どもとのか かわりの困難さは「子どもとの関係構築の困難さ」「欠席や不登校の増加と対応の困難さ」 「保健室の使い方の変化」等の 10 項目が得られた。困難さでは、教育現場においてマスク は感染予防対策では重要である一方、コミュニケーションや対象理解への影響が大きいこ と、保護者の多様な価値観と教職員の葛藤、養護教諭の感染予防への重責と連携が示唆され た。教職員からみたコロナ禍での子どもとのかかわりのやりがいは、「子どもや保護者への 支援」「子どもの成長や変化」「必要な行事・活動の工夫」「子どもへの理解とかかわり」等 の 9 項目が得られた。やりがいではコロナ禍を乗り越える工夫や成果により得られており、 レジリエンスの内的資質(平野,2021)が活かされていることが示唆された。
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© 2024 山陽学園大学・山陽学園短期大学
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