抄録
本研究注1)は、SVOD(Subscription Video On Demand)サービスの加入における施
策効果の検証について、計画的行動理論(Theory of Planned Behavior)を拡張し、「行動意
図」と実際の「行動」の間に実施されたメディアによる「情報」を「介入効果」として、「行
動意図」と「行動」に「介入効果」が与える影響と因果関係について、短期縦断調査データ
を用いて分析を行い、マーケティング効果の検証モデルを示した。「介入効果」である「情
報」は、直接的に「行動意図」と「行動」に影響を与えるものの、その影響は「行動」の方
が強いこと、さらに「情報」は、「行為への態度」「主観的規範」「知覚行動制御」に対して
影響を与え、間接的に「行動意図」を介して「行動」への効果があることを示した。
計画的行動理論を援用し、分析に縦断調査データを用いることで、マーケティング施策の
前後の差分が確認できる観測変数から因子変数を設定し、「介入効果」の影響度を施策の効
果として検証できるモデルを示した。本研究においては、「介入効果」としての「情報」は、
TV−CM やWeb サイトなどのメディア施策よりもCGM の方が効果的であることが確認さ
れた。また、多母集団同時分析により、個人差要因(属性)により、モデルの因子変数間のパ
スに非有意や影響力の違いがあることを確認し、属性を絞ったマーケティングが効果的で
ある可能性を示した。