農業施設
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閉鎖型ブロイラー鶏舎模型間の汚染空気の伝播と拡散
池口 厚男 奥島 里美
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ジャーナル オープンアクセス

2009 年 40 巻 1 号 p. 35-46

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抄録

鳥インフルエンザを始めとした人畜共通感染症や口蹄疫などの家畜の疾病は畜産業のみならず地域や国に甚大な被害を及ぼす。これらに対する防疫の概念としてコンパートメンタリゼーションが提唱されているが、我が国では無窓鶏舎のバイオセキュリティーレベルの適応に関してデータや指針はない。一方、病原体の伝播の形態の一つにエアロゾルがあげられ、鶏舎間での伝播や拡散性状を把握する事が非常に重要である。そこで本研究はコンパートメンタリゼーション摘要性の検討のため、汚染質の発生位置、鶏舎間距離による汚染質の鶏舎間伝播や舎外への拡散性状を明らかにすることを目的とした。対象とする鶏舎は横断換気方式の2階立て無窓平飼ブロイラー鶏舎で、風上と風下に位置する2棟の1/20の模型を用い、定常、非等温条件で風洞実験を実施した。比重が空気と同程度のエチレンガスをパッシブスカラーである病原体を含む汚染空気として用いた。  発生量に対する伝播量は10-2のオーダーで、発生源が風上側の建物、かつ1階で、鶏舎間距離が棟高さの4倍である場合が最も伝播量は低く、風下側の建物に伝播しなかった。風下側から発生した場合、汚染空気は風上側の建物にも伝播し、その量は風上側から発生する場合よりも多かった。舎外への拡散量は建物間で多く、風上の建物から風下側に棟高さの6倍の距離を離れると、どの条件でもほぼ同程度の拡散量となった。

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