抄録
本研究では、Uniform design に基づき、アンモニア水による稲藁の前処理研究を行った。12組の実験を行ったところ、酵素による藁の加水分解率はそれぞれ21.2%~74.2%の範囲であり、リグニンの除去率はそれぞれ12.2%~80.9%の範囲であった。また、23%のアンモニア水を用い、藁とアンモニア水の比率1:25(w/v)、温度170℃が最適な分解条件であった。回帰分析により、本実験の設定範囲において、酵素による藁の加水分解率を想定した各要素との相互関係について検討したところ、酵素による藁の加水分解率とアンモニア水濃度との相関が最も強いことが分かった。また、温度、アンモニア水の用量は糖の生成量と多少の関係を持つことが見られるものの、反応時間、稲藁の粉砕粒度とは関連性がないことがわかった。さらに、酵素による藁の加水分解率に対して、各要素との相乗関係では、明確な相互関係が認められなかった。また、本実験で導かれた最適条件を用いて稲藁のリグニン除去及び酵素による藁の加水分解率を検証したところ、53.7%のリグニンの除去率及び87.1%の糖化率が得られた。