2011 年 42 巻 2 号 p. 51-58
本研究では牛ふんに混合する副資材の種類が堆肥化過程における発酵熱の発生と回収に及ぼす影響を調査するとともに,吸引通気式堆肥化システムによる発酵熱利用の可能性を検討した。その結果,430 L の発酵槽で28 日間の堆肥化を行い,その期間に排気により回収可能な熱量が明らかになった。具体的には一般的な4 種類の副資材に加え,未・低利用資材である廃農業用ロックウールおよび廃菌床を牛ふんと混合して堆肥化を行ったところ,堆肥化過程で回収できた熱量は229 ~ 601MJ・m-3 であり,そのうち利用可能なエネルギ(エクセルギ)は90 ~ 162 MJ・m-3 であった。堆肥からの現物あたりの回収熱量は,直接燃焼による回収熱量の13%であった。