抄録
2010 年に宮崎県で発生した口蹄疫は甚大な被害をもたらし,埋却地の確保ができずに堆肥,ふん尿や飼料等が残留した。もし,堆肥に口蹄疫ウイルスが残存した場合,切返しによって拡散し,さらなる伝播が懸念される。そこで,切返しによるエアロゾル拡散性状の把握と水の噴霧による抑制方法を検討することを目的とした。
堆肥舍内で発生する粒径が0.3 μm 以上,0.5 μm 未満のエロゾルは108 particles m-3 のオーダーで最も濃度が高かった。堆肥舍で発生するエアロゾルの個数濃度に対する堆肥舍からある距離だけ離れた位置の個数濃度の比を無次元濃度とすると,堆肥舍から40 m 離れるとすべての粒径において無次元濃度は0近くになった。40 m 以内では,堆肥舍から離れるに従い,無次元濃度は徐々に減少した。また,その無次元濃度の予測式を提示した。噴霧によって90% 濃度の低減が可能であることを示した。