抄録
ナタネのマイクロ波連続加熱を行うために矩形導波管型マイクロ波アプリケータを試作してナタネの連続加熱試験と搾油試験を行い,小型搾油機での搾油の前処理法としての検討を行った。矩形導波管を利用したマイクロ波アプリケータにて短絡板を管内波長の1/4の距離を0.5 Hzの間隔で断続的に移動させながらマイクロ波を照射することで,アプリケータ内に強い電界を形成し,ナタネを効率よく加熱することが可能であった。この原理を応用した矩形導波管型マイクロ波アプリケータでは,ナタネを35 kg/hの処理量で115±4 ℃に連続加熱することが可能であった。マイクロ波加熱後に行った搾油試験では,搾油機の出口開度を7.5 mmとした場合,非加熱の搾油率 22.6%に比べ5.8%向上し28.4%となった。搾油後のろ過油の品質では,マイクロ波加熱による酸価や酸化安定性への大きな影響は無く,クロロフィル含量は高くなる傾向にあった。結果,矩形導波管型マイクロ波アプリケータによるナタネの連続加熱処理は小型搾油機の前処理法として有効であった。