農業施設
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籾摺機での玄米の放射性物質交差汚染に関する実態調査
野田 崇啓 日髙 靖之重松 健太窪田 陽介山下 貴史宮原 佳彦
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2013 年 44 巻 3 号 p. 122-127

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抄録

2012年に実施した福島県での玄米全袋の放射性物質検査において,ごく一部の米袋から規制値(100 Bq/kg)を超える放射性セシウムが検出され,その原因として「籾摺機内での交差汚染の可能性」が報告された。本報告を受け,筆者らは福島県内にある籾摺機を用いて交差汚染の実態調査を行った。籾摺中に排出された玄米を採取の上,放射性セシウム濃度(134Cs + 137Cs)を測定した結果,玄米排出初期の回収袋から,汚染されていない籾摺機で調製した玄米(基準玄米)より高い濃度が検出されること,その濃度は籾摺が進むにつれて,基準玄米と同水準まで徐々に低下する傾向を確認した。また,籾摺後に機内を分解清掃の上,回収した機内残留物の放射性セシウム濃度を測定した結果,回収した玄米より極めて高い値が検出された。さらに,放射性セシウム濃度と玄米回収袋内の機内残留物混入割合に正比例関係が認められた。これより,籾摺機を使用する前に十分な清掃を行わない場合,高濃度の放射性セシウムを含む機内残留物の混入による,玄米の放射性物質交差汚染の発生が明らかとなった。交差汚染を回避するには,機内に残っているホコリ等の残留物を籾摺前に取り除くことが有効と考えられた。

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