抄録
ヒートポンプシステム導入による暖房経費の節減が報告されているが,ヒートポンプシステムは従来の燃油式温風暖房機と温風送風方式が異なる。そこで,温風送風方式が異なる施設園芸用暖房機を設置した2つのハウスを用いて,暖房負荷や地中伝熱量等を測定した。その結果,送風ダクトをハウス内に配置して温風送風を行う従来の燃油式温風暖房機が設置されたハウスに比べて,ハウス妻面側に設置した室内機(送風ユニット)から直接温風送風を行うヒートポンプシステムが設置されたハウスは,80 %の暖房負荷でハウス内気温を同水準に維持することができた。ヒートポンプシステムが設置されたハウスの地中伝熱量は,燃油式温風暖房機が設置されたハウスの地中伝熱量に比べて小さかった。また,両者の地中伝熱量の差が大きくなるほど,暖房負荷の差が大きくなった。