農業施設
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44 巻, 3 号
第44巻第3号(通巻138号)
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 前田 武己, 佐久間 雅紀, 工藤 洋晃, 立石 貴浩, 築城 幹典, 宮竹 史仁, 岩渕 和則, 前田 高輝
    2013 年44 巻3 号 p. 100-106
    発行日: 2013年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル オープンアクセス
    材料へ塩化マグネシウム(MgCl2)を添加することにより,struvite(リン酸マグネシウムアンモニウム;MgNH4PO4・ 6H2O)の生成を促進させて堆肥化早期のアンモニア揮散を低減する方法を評価するために,肥育牛排せつ物を材料として小型反応槽を用いた15日間の堆肥化実験により検討を行った。MgCl2 添加により初期材料のpHの低下とECの上昇が生じ,その添加量が排せつ物乾燥質量当たり0.4 mol(mol kgDM-1)のときの有機物分解率は,無添加である対照区の63%にとどまった。無添加に対する添加区のstruvite-N増加量は,実験終了時において材料初期乾燥質量当たり0.03 mol kgDM-1(MgCl2 添加: 0.1 mol kgDM0-1)~0.07 mol kgDM-1(MgCl2 添加:0.4 mol kgDM0-1)であり,添加したMgCl2 がstruvite-N生成に利用された割合は34~16%と計算された。このため,MgCl2 添加が0.4 mol kgDM-1 のときのアンモニア揮散は対照区の70%に抑制されたが,struvite-N生成による抑制効果よりも材料pHの低下による抑制効果が大きかったものと考えられる。
  • 植松 康, 金 南昔, 森山 英樹, 佐瀬 勘紀
    2013 年44 巻3 号 p. 107-114
    発行日: 2013年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,園芸用パイプハウスを対象とし,妻面や側壁面に存在する隙間位置での外圧を1/40縮尺模型を用いた風洞実験で測定し,その時刻歴データを用いて内圧をシミュレーションした。その結果,内圧係数は風向によって大きく変化し,最も大きな正および負の内圧係数を与えるのは,風向が妻面および側壁面に正対する場合であることが示された。また,構造骨組および外装材に対して最大荷重効果がもたらされる2構面における外圧も同時に測定し,外圧と内圧の相関,およびそれらによる荷重効果の相関はいずれも低いことを明らかにした。筆者らは,既往の研究において構造骨組用外圧係数並びに外装材用ピーク外圧係数を提案したが,本論ではそれらと組み合わせることで設計用風荷重を合理的に評価できるような構造骨組用内圧係数並びに外装材用ピーク内圧係数を提案する。そして,それらを用いて算定される荷重効果は,外圧および内圧の時刻歴データを用いた動的解析から得られる最大ピーク値を概ねカバーしていることより,提案したモデルが設計用の値として妥当であることを示す。
  • 後藤 文之, 庄子 和博, 間野 英行, 花形 将司
    2013 年44 巻3 号 p. 115-121
    発行日: 2013年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル オープンアクセス
    近年,空気熱源式ヒートポンプの温室における利用が注目されてきている。ヒートポンプの性能を表す指標としてCOP(成績係数)が使われている。しかし,JIS規格で規定されているCOP測定の環境条件と温室内の温熱環境は大きく異なっていることから,温室におけるCOPの測定が求められている。本研究では,温室内にヒートポンプを設置し,空気エンタルピー法による暖房時のCOPの測定を試みた。最初に,COP値に大きな影響を与えるヒートポンプ吹出し口の風速・風量と空気温度を検討した。風速は中央部と左端部で,約2.7 m/sの差があり,空気温度は約2.5 ℃の差があった。そこで,均一な空気温度と平均化した風量の測定ができるように,集風フードとダクトを設け,その後方にピトー管方式の風量測定器を設置し,ダクトの最後尾にインバータ制御機能を持つ吸引ファンを持つCOP測定装置を開発した。その結果,空気温度のばらつきは0.3 ℃以下,風量はメーカー値との差が5%以内となった。最後に,JIS規格で示されている環境条件に近い条件の断熱室や実際の温室におけるCOPの測定から,風量を特定することで,今回示した方法によってCOPを正確に測れる可能性が示された。
  • 野田 崇啓, 日髙 靖之, 重松 健太, 窪田 陽介, 山下 貴史, 宮原 佳彦
    2013 年44 巻3 号 p. 122-127
    発行日: 2013年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル オープンアクセス
    2012年に実施した福島県での玄米全袋の放射性物質検査において,ごく一部の米袋から規制値(100 Bq/kg)を超える放射性セシウムが検出され,その原因として「籾摺機内での交差汚染の可能性」が報告された。本報告を受け,筆者らは福島県内にある籾摺機を用いて交差汚染の実態調査を行った。籾摺中に排出された玄米を採取の上,放射性セシウム濃度(134Cs + 137Cs)を測定した結果,玄米排出初期の回収袋から,汚染されていない籾摺機で調製した玄米(基準玄米)より高い濃度が検出されること,その濃度は籾摺が進むにつれて,基準玄米と同水準まで徐々に低下する傾向を確認した。また,籾摺後に機内を分解清掃の上,回収した機内残留物の放射性セシウム濃度を測定した結果,回収した玄米より極めて高い値が検出された。さらに,放射性セシウム濃度と玄米回収袋内の機内残留物混入割合に正比例関係が認められた。これより,籾摺機を使用する前に十分な清掃を行わない場合,高濃度の放射性セシウムを含む機内残留物の混入による,玄米の放射性物質交差汚染の発生が明らかとなった。交差汚染を回避するには,機内に残っているホコリ等の残留物を籾摺前に取り除くことが有効と考えられた。
  • 古野 伸典, 菅原 敬, 奥島 里美, 佐瀬 勘紀
    2013 年44 巻3 号 p. 159-166
    発行日: 2013年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル オープンアクセス
    ヒートポンプシステム導入による暖房経費の節減が報告されているが,ヒートポンプシステムは従来の燃油式温風暖房機と温風送風方式が異なる。そこで,温風送風方式が異なる施設園芸用暖房機を設置した2つのハウスを用いて,暖房負荷や地中伝熱量等を測定した。その結果,送風ダクトをハウス内に配置して温風送風を行う従来の燃油式温風暖房機が設置されたハウスに比べて,ハウス妻面側に設置した室内機(送風ユニット)から直接温風送風を行うヒートポンプシステムが設置されたハウスは,80 %の暖房負荷でハウス内気温を同水準に維持することができた。ヒートポンプシステムが設置されたハウスの地中伝熱量は,燃油式温風暖房機が設置されたハウスの地中伝熱量に比べて小さかった。また,両者の地中伝熱量の差が大きくなるほど,暖房負荷の差が大きくなった。
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