抄録
筆者らは,ルーズバーン式牛舎から排出されるオガクズを含んだ半固形状乳牛ふん尿について,堆肥化とメタン発酵を組み合わせた複合処理の適用を検討している。本報ではその一環として,半固形状ふん尿を固液分離して固形分を回収し,実際に堆肥化を行って堆肥化特性と臭気発生を評価した。半固形状ふん尿を固形分離した固形分は,かさ密度は減少するが,易分解性有機物が搾汁液側に移動するため,難分解性有機物の含有率が増加した。この固液分離後の固形分についてパイロットスケール堆肥化装置(容積1.8 m3)を用いて堆肥化試験を行い,堆肥化特性および臭気発生を調べた。固液分離後の固形分を堆肥化した区(固液分離区)では,同量のふん尿をオガクズで水分調整した材料を堆肥化した区(オガクズ混合区)と比較して同程度の発酵温度,有機物分解率が得られ,難分解性有機物の分解率はオガクズ混合区よりも高かった。一方,固液分離区ではオガクズ混合区と比較して,堆肥化期間中のアンモニア揮散量が55 %低減し,臭気指数相当値と通気量の積で表した臭気指数排出強度は堆肥化1週目で44.9 %,2週目で37.2 %低減した。