農業施設
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51 巻, 2 号
第51巻第2号(通巻165号)
選択された号の論文の2件中1~2を表示しています
  • 後藤 文之, 伊藤 憲彦, 庄子 和博
    2020 年51 巻2 号 p. 49-58
    発行日: 2020年
    公開日: 2023/09/28
    ジャーナル オープンアクセス
    日本の温室やハウスでは,石油暖房機等の温風を利用した暖房が一般的である。温風暖房は,温湯暖房と比べて温室内の温度むらが発生しやすいため,エネルギーの無駄や不均一な作物の生育が生じると考えられる。しかしながら,温風によって発生する温度むらの程度や発生メカニズムの詳細はよくわかっていない。それらを明らかにするためには,温室内の多地点の温度を同時に長期間計測可能なワイヤレス・センサ・ネットワーク(WSN)の利用が適している。本研究では,温室内の通信環境や電源の供給を考慮して,温室内温度分布を多点で長期間かつ同時に計測するセンサノードを開発するとともに,商業栽培用温室において WSN の評価を行った。通信には,データ送信に制約が少ない2.4 GHz 帯を使用する無線方式のうち,通信制御時と通信時の消費電力が小さい TWELITE を採用した。電源部は太陽電池とコンデンサを使用することによって,電池交換を不要にした。開発した WSN は野外測定において100 m の通信距離を十分に確保できることが分かった。太陽電池は温室内においても十分に発電しており,少なくとも半年以上は,正常にセンサノードから電波を発信できる状態であった。また,70個のセンサノードを0.5 ha のトマト栽培温室に設置することにより,室温の経時を詳細に捉えることができたことから,WSN が有効に機能することが示された。
  • 古橋 賢一, 田中 章浩, 黒田 和孝, 福重 直輝
    2020 年51 巻2 号 p. 59-67
    発行日: 2020年
    公開日: 2023/09/28
    ジャーナル オープンアクセス
    筆者らは,ルーズバーン式牛舎から排出されるオガクズを含んだ半固形状乳牛ふん尿について,堆肥化とメタン発酵を組み合わせた複合処理の適用を検討している。本報ではその一環として,半固形状ふん尿を固液分離して固形分を回収し,実際に堆肥化を行って堆肥化特性と臭気発生を評価した。半固形状ふん尿を固形分離した固形分は,かさ密度は減少するが,易分解性有機物が搾汁液側に移動するため,難分解性有機物の含有率が増加した。この固液分離後の固形分についてパイロットスケール堆肥化装置(容積1.8 m3)を用いて堆肥化試験を行い,堆肥化特性および臭気発生を調べた。固液分離後の固形分を堆肥化した区(固液分離区)では,同量のふん尿をオガクズで水分調整した材料を堆肥化した区(オガクズ混合区)と比較して同程度の発酵温度,有機物分解率が得られ,難分解性有機物の分解率はオガクズ混合区よりも高かった。一方,固液分離区ではオガクズ混合区と比較して,堆肥化期間中のアンモニア揮散量が55 %低減し,臭気指数相当値と通気量の積で表した臭気指数排出強度は堆肥化1週目で44.9 %,2週目で37.2 %低減した。
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