抄録
タバココナジラミ類は,トマトやキュウリ等の施設野菜に甚大な被害をもたらす農業害虫であり,農薬耐性の異なる複数のバイオタイプが確認されている。我々の研究グループでは,タバココナジラミ類の発する音が,バイオタイプ毎に異なることに着目し,音情報を用いてバイオタイプを判別する手法を確立してきた。一方,農業現場において,タバココナジラミ類のバイオタイプを音情報から判別する作業を可能にするためには,園芸施設において,低コストで発生音を計測できる仕組みが不可欠である。そこで,本研究は,園芸施設における環境騒音の特徴を明らかにすると共に,そのような環境において,低コストな構成で,タバココナジラミ類の発する音を計測できる微小発生音収録装置の実現可能性を検討する。さらに,園芸施設における検証実験を行い,構築したプロトタイプは,低コストな構成ながら,タバココナジラミ類の発する音を計測できる可能性を有していることを確認した。