抄録
床条件が牛の歩行動作にどのような影響をおよぼすかを知るために, コンクリート床と, その上にモミガラを7~9cm敷いた床との2つの異なる条件において歩様・歩行荷重を観察・測定した。各肢の着地・遊脚相の相対的な時間のずれには両条件間に顕著な差異は認められなかった。歩行荷重に関しても, 鉛直・前後・左右の3分力全てについて基本的な波形は両条件においてほぼ同一であった。しかし, モミガラを敷くことによって, コンクリート床の際に発生する蹄接地時の衝撃が消失すること, 左右分力がコンクリート床に比べ小さくなること, の2点において変化が認められた。鉛直・左右の2方向について重心の変位を推定したところ, 鉛直方向については床条件間に差異はなく1~3cmであり, 左右方向に関しては, コンクリート床で11~14cmであるのに対し, モミガラを敷いた場合には6~10cmに減少し, モミガラを敷いた床条件での方が左右への偏心の少ない歩き方をしていることが明かとなった。