抄録
年間の異なる時期にトマトを養液栽培し, 温度, 光などの環境要因と生育との関係を数式化しようとした。生育ステージ別の積算温度の平均はそれぞれ, 播種から開花までが1135.4℃, 開花から収穫開始までが1007.8℃, 収穫開始から収穫終了までが346.8℃となった。いずれの生育ステージにおいても, 日射の強い時期の作型は生育日数が短く, 積算温度の値が小さくなり, 日射の弱い時期の作型は生育日数が長く, 積算温度の値が大きくなった。積算日射量が多い日ほど, その日の平均気温を高く補正し, 補正した温度の積算で生育速度を表した。これに基づき予測された生育ステージ別の日数と実際との差は, おおむね前後2日以内であった。この方法により, 過去6年間の気象データをもとに播種時期別の生育日数を求め, 作付け計画図を作成し, 一段どり栽培トマトの計画的生産を理論上可能にした。