農業施設
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28 巻, 4 号
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  • 佐竹 隆顕, 古谷 立美, 南 善行, 立花 文夫
    1998 年28 巻4 号 p. 193-201
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    実用の肉豚肥育用飼料の配合設計問題として, 配合候補の飼料原料にコーン, マイロ, ダイズ油粕など20種, また組成および栄養価の指標として粗蛋白質, カルシウム, 可消化養分総量など13項目を選択抽出する一方, 遺伝的アルゴリズム (GA) を援用した最適設計を試みた。肉豚肥育用の配合飼料としての飼料原料の配合率や栄養組成・栄養価の含有率の制約条件を満たしつつ, 最も経済的な最小の配合飼料コストを実現する配合設計用の遺伝的アルゴリズムをC言語により新規に開発するとともに, 突然変異の生起確率や個体群サイズといったGAパラメータを種々変えて設計シミュレーションを行った。
    線形計画法 (LP) により最適解として得られた配合率ならびに栄養組成および栄養価の含有率と比較検討を行った結果, 遺伝的アルゴリスムによる最適解は線形計画法による最適解とほぼ等しい値を示し, 遺伝的アルゴリズムによる実用配合飼料の最適設計が可能であることを明らかにした。
  • 環境要因とトマトの生育
    小林 尚司, 島地 英夫, 池田 英男
    1998 年28 巻4 号 p. 203-208
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    年間の異なる時期にトマトを養液栽培し, 温度, 光などの環境要因と生育との関係を数式化しようとした。生育ステージ別の積算温度の平均はそれぞれ, 播種から開花までが1135.4℃, 開花から収穫開始までが1007.8℃, 収穫開始から収穫終了までが346.8℃となった。いずれの生育ステージにおいても, 日射の強い時期の作型は生育日数が短く, 積算温度の値が小さくなり, 日射の弱い時期の作型は生育日数が長く, 積算温度の値が大きくなった。積算日射量が多い日ほど, その日の平均気温を高く補正し, 補正した温度の積算で生育速度を表した。これに基づき予測された生育ステージ別の日数と実際との差は, おおむね前後2日以内であった。この方法により, 過去6年間の気象データをもとに播種時期別の生育日数を求め, 作付け計画図を作成し, 一段どり栽培トマトの計画的生産を理論上可能にした。
  • 回分試験による発酵温度特性の比較
    木村 義彰, 梅津 一孝, 高畑 英彦
    1998 年28 巻4 号 p. 209-216
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    中温連続式発酵槽より排出された脱離液乳牛糞尿スラリーを種汚泥とした嫌気発酵回分試験を行い, 中温から冷温域 (42.5から5℃) にかけてのメタン生成量の発酵温度依存性を指数的成長回帰モデルを援用したモデル式を用い検討した。その結果, このモデル式は, 累積メタンガス生成量とメタン生成率の予測モデルとして有効であることが明らかとなった。また, 発酵温度20℃を境に冷温域のメタン生成量は著しく減少し, 発酵温度が高くなるほどメタン生成率は高くなることが明らかになった。
  • 劉 蛟艶, 小島 孝之, 田中 宗浩, 多々良 泉
    1998 年28 巻4 号 p. 217-224
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    佐賀県伊万里市産のニホンナシ (豊水) を用いて, 振動および貯蔵実験を行った。輸送振動の有無および貯蔵温度の違いが, その後の貯蔵中のナシ果実の物理的特性および糖度, 酸度などの品質に与える影響を調査した。
    果実への輸送振動は佐賀から大阪までの高速道路を走行輸送中のトラック荷台の振動状態を実測記録し, これを実験室内で再現する方法で与えた。加振後, 温度0℃および10℃, 湿度90%で貯蔵した。
    貯蔵温度の高さおよび貯蔵期間の長さが目減り率を大きくし, 硬度, 含水率および糖度, 酸度を低下させるが, 振動を受けた場合, さらにこれらが加速された。果皮色は, 明度値が低くなるが, 赤色度値は高く, 色相値も増大した。ナシ果実に与えた貯蔵期間および振動の有無などの非破壊判別が近赤外分光法を用いた判別分析で可能であることを示した。
  • 李 文奇, 前川 孝昭, 張 振亜
    1998 年28 巻4 号 p. 225-232
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    ロックウールを0.8L入れた液容積2.5Lの固定床メタン発酵槽と完全混合メタン発酵槽を用いて酢酸を基質とする合成廃水による35℃の中温メタン発酵実験を酢酸負荷や希釈率をそれぞれ同一とする実験を実施し, ロックウールを担体とする固定床メタン発酵槽と完全混合メタン発酵槽の特性を比較した。固定床メタン発酵槽の酢酸の除去率は酢酸負荷2.5 (g/L・day) の運転条件の時, 希釈率2 (1/day) まで85%以上であった。固定床メタン発酵槽の菌体密度及び希釈率0.2から2 (1/day) までのメタン生成速度は希釈率0.2 (1/day) の完全混合メタン発酵槽のものより高かった。
    固定床メタン発酵槽では水理学的平均滞留時間 1 (day), 酢酸負荷5 (g/L・day) の運転条件の時および完全混合メタン発酵槽では水理学的平均滞留時間5 (day),酢酸負荷5 (g/L・day) の運転条件の時の各々の発酵槽の菌体密度は, それぞれ13.5, 3.3 (g/L) となった。また, 酢酸負荷5 (g/L・day) の時, 希釈率を0.06から1 (1/day) まで増加させた場合, 固定床内部の液体に滞留する平均菌体密度は11.3から13.5 (g/L) まで増大した。一方, 完全混合メタン発酵槽内の菌体密度は希釈率を0.06から0.20 (1/day) まで増加させた時, 3.1から3.3 (g/L) まで増大した。
    固定床メタン発酵槽の担体として用いたロックウールの色は実験終了時点で黒変していたが, 変形や損壊などが観察されず, 安価でかつ耐久性にも優れた固定床材料と考えられた。
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