抄録
横臥・起立動作に関する運動力学的分析結果をもとに, 動作時にすべりにくい床勾配を持つストールを考案・試作した。考案したストールは, 横臥動作時の前肢のすべりを防止するために中央部分が高く, 前端に向かって一様の勾配を持つ。また, 横臥動作時の後肢のすべりを防止するために, ストール後半は後端に向かう勾配を持つと同時に左右端を高くし中心線を低くしたカウンタースロープの形状をしている。このカウンタースロープは起立動作時の後肢のすべり防止にも効果が期待される。考案したストールに乳牛を繋留した場合には, 後方に一様勾配を持つ通常のストールに係留した場合に比較して, 横臥動作所要時間が有意に短くなった。他の動作, 行動およびストレス性については2ストール間で明確な差異が認められなかった。ストール床面のすべりやすさを改善することによって, 現況よりも横臥動作のしやすいストールの開発が可能なことが示唆された。