農業施設
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31 巻, 1 号
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  • 培地資材, 根域の制限, 給液方法の違いが生育, 収量, 果実品質に及ぼす影響
    小林 尚司, 永井 耕介
    2000 年31 巻1 号 p. 1-9
    発行日: 2000/06/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    トマトの一段どり栽培では, 生育ステージが良くそろうという特徴がある。この特徴を生かし, 糖度の高い果実の生産を目的として, NFT栽培における育苗培地資材, 遮根透水布による根域の制限, 底面からの給液方法の違いが, 生育・果実肥大並びに内容成分に及ぼす影響について調べた。
    育苗培地資材については, ロックウールに比べてパーライトでは保水性が低く, 生育・果実肥大が抑えられ, 果実の糖度は高くなったが, 収量の減少が著しかった。ロックウールを詰めた容器の底部を遮根透水布で包んで根域を制限することによっても, 生育や果実肥大が抑えられたが果実の糖度は高くなり, この方法のほうがパーライトより収量の減少が小さかった。果実糖度は, ベッド底面へ止水せきを設置するより, 鉢底面へ保水布を設置した場合に高くなった。
  • 前川 孝昭, 院多本 華夫, 杉浦 則夫
    2000 年31 巻1 号 p. 11-21
    発行日: 2000/06/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    水の華の異常発生する霞ヶ浦及び筑紫湖の異臭味発生の原因, 藻類相, 水質について評価・解析した。
    官能試験から, 霞ヶ浦湖水の臭気の種類は, メチルメルカプタン, イソプロピルメルカプタン, ディメチルメルカプタンに類似した。また, ニオイセンサ試験から, 両湖水とも, 硫化水素系ニオイセンサの強度とクロロフィルの濃度が密接に関連した。
    夏期の両湖水中の藻類相は, 霞ヶ浦では85%が藻類 M. aeruginosa, ついでMIBを発生する P. Tenue であり, 筑紫湖では38%が M. aeruginosa であった。
    官能試験による湖水の悪臭の種類, 原因の解析から, 霞ヶ浦の臭気の種類は, 土臭で, 筑紫湖の場合, 沼沢臭で強度は霞ヶ浦の1/2以下であった。また, 10種の臭気物質の臭気試験により, 人に感知する臭気は, イソプロピルメルカプタンが0.00038ppb, メチルメルカプタンが0.00085ppbでとくに強く, アンモニア, 硫化水素はそれぞれ8.75ppm, 9.4ppmと極めて感度が低かった。
    ニオイセンサのうち, 硫化水素系タイプセンサは, 官能試験でとくに強く感知したイソプロピルメルカプタン, イソブチルメルカプタン, メチルメルカプタン, さらに, 硫化水素の濃度と検出限界濃度がよく一致した。
  • 2次元形状変化
    ウラサ リチャードL, 田中 史彦, 田中 俊一郎, 守田 和夫
    2000 年31 巻1 号 p. 23-30
    発行日: 2000/06/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    大豆は吸水の過程で膨張することが知られている。本研究では大豆の吸水特性を明らかにするとともに, 吸水による大豆の膨張度合いをビデオマイクロスコープにより記録し, 画像解析を行うことで膨張度合いと含水率の関係を明らかにした。その結果, 以下の知見を得た。1) 大豆の膨張度合いは含水率の関数として表現される。2) 吸水速度係数は Arrhenius 型の温度依存性を持つ。3) 膨張による断面積の経時変化は吸水速度式と同型の式で近似される。このとき, 断面積の膨張速度に係る係数には, 温度に対して Arrhenius 型の依存性があることが確認された。以上の結果から, 大豆の吸水による含水率変化は, 膨張度合いの画像解析により予測できることが示された。
  • 蓑輪 雅好
    2000 年31 巻1 号 p. 31-40
    発行日: 2000/06/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    豚体に入射する直達日射量 [W] は法線面直達日射量 [W/m2] とその法線面に直投影した豚体面積 [m2] との積で求めることができる。本研究では法線面へ直投影した豚体の面積を直達日射面積と呼称し, 体重が27, 65, 88kgである豚の立位におけるサーフェスモデル (体表面を多数の三角形パッチで構成した3次元多面体グラフィックスモデル) を用いて豚体の直達日射面積を, 太陽高度と豚体に対する太陽の方位角を変数として数値計算で求めた。
    太陽高度と豚体に対する太陽方位角を変数として27, 65, 88kg豚の直達日射面積を図示した。太陽高度が低いとき豚体の直達日射面積は, 太陽が豚体の前方や後方に位置するとき小さくなり, 太陽が豚体の横方向に位置するとき大きくなる変動を示した。これらの変動は太陽高度が高くなるにつれて小さくなり, 太陽高度が90°における直達日射面積は方位角に関係なく一定であった。提示した直達日射面積を用いることにより, ある方向を向いて立位している豚体に入射する直達日射量の算定が豚体の3次元形状に基づいて可能になった。
    次に, 方位角に関して平均化した直達日射面積と太陽高度の関係を図示した。これらの直達日射面積は, 豚が向きを自由に変えることができるときに豚体に入射する直達日射量の算定に使われる。
    最後に, 豚体に入射する天空日射量QDF [W] および水平地表面から豚体に入射する反射日射量QR [W] の算定式を提示した。これらの算定式は本研究で解明した太陽高度90°における豚体の直達日射面積を用いて決定したものであり, 27~88kgの豚に適用可能である。
    QDF=0.611QDFHS
    QR=0.389ρQGHS
    ここでQDFHは水平面天空日射量 [W/m2], QGHは水平面全天日射量[W/m2],ρは地表面の日射反射率, Sは豚体表面積 [m2] である。
  • 佐藤 義和, 干場 信司, 佐々木 修
    2000 年31 巻1 号 p. 41-46
    発行日: 2000/06/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    横臥・起立動作に関する運動力学的分析結果をもとに, 動作時にすべりにくい床勾配を持つストールを考案・試作した。考案したストールは, 横臥動作時の前肢のすべりを防止するために中央部分が高く, 前端に向かって一様の勾配を持つ。また, 横臥動作時の後肢のすべりを防止するために, ストール後半は後端に向かう勾配を持つと同時に左右端を高くし中心線を低くしたカウンタースロープの形状をしている。このカウンタースロープは起立動作時の後肢のすべり防止にも効果が期待される。考案したストールに乳牛を繋留した場合には, 後方に一様勾配を持つ通常のストールに係留した場合に比較して, 横臥動作所要時間が有意に短くなった。他の動作, 行動およびストレス性については2ストール間で明確な差異が認められなかった。ストール床面のすべりやすさを改善することによって, 現況よりも横臥動作のしやすいストールの開発が可能なことが示唆された。
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