ドライフラワの需要拡大のためには, 耐久消費財としてのドライフラワの作成とそれを応用した製品の開発が望まれる。このようなドライフラワを作成するためには, 生花と同様の形態と色彩の長期保持が望まれている。本研究では, ドライフラワ作成時における変形と変色を抑制し, さらに乾燥時間の短縮に最適な乾燥法を選択することを目的とし, リトルマーベル (バラ科バラ属) を供試材料とし, 従来から採用されてきた空気乾燥法に加えて, シリカゲル細粒充填層内に埋没させた材料を電熱ヒータで加熱して乾燥する方法, 凍結乾燥法および減圧マイクロ波乾燥法などを選び, その適用性を比較検討した。
試料を固定した乾燥法では萎縮が少なく, その形態が保持された。また, 乾燥前後の花弁の色差は含水率の低下に伴い生じる萎縮により増大するが, 乾燥過程での萎縮の防止に有効な乾燥法を選択することにより抑制可能であることが分かった。色差発現の主要因はハンタ表色系におけるL*, b*値の減少によるものであることが確認された。ドライフラワの作成には形態, 色彩, 乾燥時間の面でヒータを併用したシリカゲル埋没乾燥法が最適であることが分かった。