農業施設
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33 巻, 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 張 燕生, 張 振亜, 杉浦 則夫, 前川 孝昭
    2002 年33 巻2 号 p. 83-90
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    メタン生成に対する微量金属塩濃度の影響とその動力学的検討を行うために, 混合無機培地に従来法濃度の0.5倍~300倍となるように微量金属塩液を添加して酢酸分解系メタン菌の回分培養を行った。メタン発酵の動力学モデルを用いて, 実験データにより, 総括反応速度とその見かけの反応速度定数を解析した結果, 実験データは動力学モデルと一致していた。又, 見かけの反応速度定数 (apparent reaction rate constant) は0.05~15mL・L-1の微量金属塩液濃度の範囲内では金属塩濃度の増加に伴って増加し, 15mL・L-1の時に最大値0.586day-1となり, その後, 15mL・L-1~30mL・L-1の微量金属塩液濃度の範囲内では金属塩濃度の増加に伴って減少することが分かった。さらに, 従来の培地の微量金属塩濃度を150倍に増加させることによって, 見かけの反応速度定数を8倍に高めることができた。これによって, 微量金属塩濃度が嫌気性処理プロセスにおけるメタン生成に重要な影響を与えることが確認された。
  • 緑豆及び大豆タンパク質フィルム特性の改善
    ウイモンラット チイーピモンチャイ, 石川 豊, 院多本 華夫, 前川 孝昭
    2002 年33 巻2 号 p. 91-101
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    グリセロールで可塑化した緑豆フィルムの特性は, 引張強度 (TS) が低く, 透湿度 (WVP) が高いために, 包装材料としての商業的な利用には適していないことを前に述べた。本研究では, 緑豆およびと大豆フィルムについて, でんぷん (タピオカ, コーン, 小麦, じゃがいも) および, 可塑剤 [ソルビトール, エチレングリコール (EG), ジエチレングリコール (DEG), トリエチレングリコール (TEG)] の添加によるこれらの特性の改善について検討を行った。でんぷんを混合した場合, 緑豆タンパク質フィルムのTSは, 0.244から2.55-3.32MPaの範囲まで増加し, 大豆タンパク質フィルムでは0.921から4.91-6.53MPaの範囲まで増加した。WVPは緑豆タンパク質ではタピオカでんぷんの添加により, 22.1から5.63×10-11g/m.s.Pa. に低下し, 大豆タンパク質では小麦でんぷん添加により10.7から7.01×10-11g/m.s.Pa. に低下した。一方, フィルムの伸度は, この手法では改善されなかった。
    可塑剤の添加では, ソルビトールにより最も特性が改善された。ソルビトールを添加したフィルムのTSは, 大豆タンパク質フィルムでは0.921から3.52MPaに増加し, 緑豆タンパク質フィルムでは0.264から0.95MPaに増加した。WVPは大豆タンパク質フィルムの場合, 8.96×10-11から1.16×10-11g/m.s.Pa. まで低下し, 緑豆タンパク質フィルムの場合, 15.05×10-11から1.9×10-11g/m.s.Pa. まで低下した。EG, DEG, TEGの場合, TSを改善することはできたが, WVPは高くなった。
  • 荘 坤遠, ノーマン C. P., 杉浦 則夫, 馮 伝平, 前川 孝昭
    2002 年33 巻2 号 p. 103-111
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    キトサン膜を用いて農場排水から六価クロムを除去する電気化学的プロセスを調査した。厚さ15μmから25μmのキトサン膜で仕切った処理チャンバに, 六価クロムを加え濃度50mg/Lとした農場排水, また純水に六価クロムを加え200mg/L及び50mg/Lとしたモデル溶液を満たして実験を行った。農場排水とモデル溶液について行った各実験では, 13時間にわたって12Vの電圧をかけた。全ての溶液において, 98%以上の六価クロムが除去された。
    キトサン膜は吸着と還元という二つのポテンシャルを持っている。電気的プロセスにおいては, 金属カチオンは水酸基とともに水酸化金属を形成することで沈殿し, 金属除去の効率を低下させる。このように電気化学的手法では, いまだ解決すべき問題を残すものの重金属除去における多くの利点を持っている。本研究ではイオン選択性の膜を用いることで, 水酸化金属の沈殿問題を解決しようとした。
    さまざまな電気化学的リメディエーション手法と比較して, 電気化学的処理とキトサンによる吸着を組み合わせた手法は, その単純性, コストの低さ, イオン除去効率の高さや実地の運用における簡便性など多くの利点をもたらすものである。また, キトサンは吸着した金属を水やアルカリ性溶液によって抽出することで, 再利用可能である。この研究では, キトサンは農場排水からの六価クロムの除去に関して有効であることが判った。
  • 加藤 仁, 東城 清秀, 渡辺 兼五
    2002 年33 巻2 号 p. 113-122
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    コンポスト化過程で発生する環境負荷ガスの再資源化プロセスと作物生産プロセスを組み入れたゼロエミッション型コンポスト化システムを検討するため, 小型発酵槽を用いたコンポスト化実験を行い, ガス発生特性ならびに窒素の回収・利用に関して実験を行った。
    コンポスト化過程での二酸化炭素の発生速度は発酵開始から高い値となり, 発生速度は6日後には安定して2~3g/h・kg.DMとなり, 18日間での総排出量は2.3kg/kg.DMであった。アンモニアの揮散は二酸化炭素発生速度曲線の2次ピーク後から始まり18日間での総揮散量は7.0g/kg.DMとなった。回収したアンモニア態窒素のうち44%の窒素が再資源化され, 20日間の栽培でトマト1株あたり56mgNの窒素が同化され, これをトマトの栽培養液として利用することにより肥料効果も確認された。
  • 石川 智佳代, 小野 昌孝, 荒木 徹也, 相良 泰行
    2002 年33 巻2 号 p. 123-130
    発行日: 2002/09/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    ドライフラワの需要拡大のためには, 耐久消費財としてのドライフラワの作成とそれを応用した製品の開発が望まれる。このようなドライフラワを作成するためには, 生花と同様の形態と色彩の長期保持が望まれている。本研究では, ドライフラワ作成時における変形と変色を抑制し, さらに乾燥時間の短縮に最適な乾燥法を選択することを目的とし, リトルマーベル (バラ科バラ属) を供試材料とし, 従来から採用されてきた空気乾燥法に加えて, シリカゲル細粒充填層内に埋没させた材料を電熱ヒータで加熱して乾燥する方法, 凍結乾燥法および減圧マイクロ波乾燥法などを選び, その適用性を比較検討した。
    試料を固定した乾燥法では萎縮が少なく, その形態が保持された。また, 乾燥前後の花弁の色差は含水率の低下に伴い生じる萎縮により増大するが, 乾燥過程での萎縮の防止に有効な乾燥法を選択することにより抑制可能であることが分かった。色差発現の主要因はハンタ表色系におけるL*, b*値の減少によるものであることが確認された。ドライフラワの作成には形態, 色彩, 乾燥時間の面でヒータを併用したシリカゲル埋没乾燥法が最適であることが分かった。
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