農業施設
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積雪荷重に対するパイプハウスの補強および鋼材重量を考慮した設計の最適化
森山 英樹David R. MEARS佐瀬 勘紀池口 厚男山口 智治
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2008 年 38 巻 4 号 p. 263-274

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抄録
積雪荷重に対するパイプハウスの低コストな最適設計を求めるために, パイプハウスに関する7組の有限要素モデルを用い, 応力解析手法および座屈解析手法によって解析した。各モデルに関して, 補強用ブレースの最適位置を決定した。また, 許容積雪荷重の上限値に対するパイプハウスの間口, 棟高およびアーチパイプ断面係数の影響について求めた。さらに, 合理的なパイプハウス設計とアーチパイプの関係について調べた。棟高の63~70%の高さに2本の引張ブレースを追加することで, 許容積雪荷重が増加した。特に間口の広いパイプハウスにおいて補強効果が著しかった。応力解析では, 許容積雪荷重に対するパイプハウス棟高の影響は殆どなかった。しかし, 座屈解析によって求めた許容積雪荷重の最大値は, 棟高の増加に従って54%減少した。地盤の緩みによる支持条件の変化を考慮すると, パイプハウスの設計に関して, 座屈解析が重要であることが明らかとなった。アーチパイプ断面係数の増加によって, 同一の設計積雪荷重に対して, パイプ間隔を増加でき, 構造に使用する鋼材重量と日射遮蔽を減少できることがわかった。一般的なパイプハウスでは, アーチパイプを直径19.1mm, 肉厚1.1mmから直径42.7mm, 肉厚2.0mmに変更することで、鋼材重量が58%, 日射遮蔽が77%減少した。
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