抄録
風洞実験では, 風洞内の気流を屋外の自然風と同じ性状にすることが重要である。本研究では, 農村工学研究所の大型風洞に, 農耕地の風と同じ性状を持った風速および乱れの強さの垂直分布を作成した。風洞実験で用いる模型の縮尺は1/20を想定し, 風洞内の風速と乱れの強さの垂直分布はターンテーブル中心で測定した。本研究では, 以下のような結果が得られた。
(1) スパイヤ, ラフネスブロック, 人工芝を風洞内に配置し, 農耕地の地表面を再現するのに妥当な粗度長を得ることができた。
(2) 対数則によって表現した縮尺1/20の粗度長は0.52mmであり, これを実物換算すると10.4mmの粗度長に相当し, 典型的な草地の粗度長を再現することができた。
(3) ターンテーブル直上の乱れの強さは0.23を得ることができ, 日本建築学会が「建築物荷重指針」で示す乱れの強さを得ることができた。