抄録
近年のエネルギー問題において, 石油代替エネルギーの利用が取りただされている。このような事態を背景に, これまで筆者らは石油代替エネルギーとして炭窯排熱に着目し, そのエネルギー賦存量における農業生産への有益性を示してきた。本研究では炭窯排熱のうち, 煙道口からの排熱を回収することについて検討した。
製炭技術者 (以下, 技術者) は煙道口からの煙色, 煙臭を指標として, 窯内環境の制御を行っている。しかし, 排熱回収のため煙道口に熱交換器を設置することになれば, 技術者による従来法での製炭が不可能となる。従って, 炭化における窯内環境を機械的に制御する必要がある。そのための制御指標を製炭時における各測定データから抽出した。すなわち, 技術者の製炭ノウハウを窯内温度, 昇温速度, 排ガス中の水分量, タール量の変化および炭化プロセスから比較, 解析することで, 製炭ステージが移行する時点の判断指標を定量的に得た。また, 炭窯の煙道口からの排熱を安定的に回収するための方法について検討した。