農業施設
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ボックス内空気振動がトマト苗の蒸発散量におよぼす影響
奥島 里美水谷 孝一佐瀬 勘紀石井 雅久池口 厚男森山 英樹
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2008 年 39 巻 3 号 p. 191-198

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抄録
施設栽培において気流を保つことは, 気温の均一化や結露防止といった効果を生むが, 施設内の空気に振動を与えるならば, 植物体などの障害物の後ろでも空気の振動が伝わるので, 群落内部でも気流速を均一に確保しやすいのではないかと考えられる。そこで, まず, ボックス内において空気振動を発生させ, 空気振動がどのように培地やトマト苗個体からの蒸発散量に影響を及ぼしているかを調べた。振動数を0, 5, 15, 24Hzと変えた場合, トマト苗および培地から大気への水蒸気拡散抵抗 (蒸発抵抗および蒸散抵抗) は15Hzで最も小さくなる傾向が見られ, その時のボックス内気流速は共振により15Hz付近で大きくなっていた。すなわち蒸発散は振動数自体ではなく, 振動により発生したボックス内気流速に左右されていた。振動数が5, 15, 24Hzいずれの場合でも, 蒸散抵抗は気流速の-0.5乗にほぼ比例した。ただし, 同じ気流速でも, 空気振動により発生した場合の培地からの蒸発抵抗はファンにより発生した場合の約1.5~2倍となった。トマト苗からの蒸散抵抗は培地ほどには大きな違いはなかった。
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