強風下の雨よけ施設の被災特徴を明らかにすること, および設計に必要な雨よけ施設の荷重条件を求めることを目的に, 被災したブドウ栽培雨よけ施設3事例の現地調査を行った。その結果, 以下を明らかにした。
(1) 被災挙動として, 柱の浮き上がり,もしくは柱 -梁接合および梁- アーチパイプ接合の脱落による骨組構造の破壊が顕著であった。柱が傾く被害はわずかであった。また, 接合部の脱落に起因するアーチパイプの二次被害を除き, 骨組部材自体の破壊はなかった。そのため, 強風下の雨よけ施設では, 水平方向よりも垂直上向き方向の風荷重が支配的であると考えられる。骨組を補強する際は, 屋根面に作用する垂直方向の負圧が主要な荷重であると想定して設計することが合理的である。
(2) 一般的な温室とは異なり, 雨よけ施設は側面が被覆されていないため, 気流の流れが温室とは大幅に異なり, 構造にかかる風圧分布も異なることが推測される。被災調査結果からもそのことが示唆された。雨よけ施設の耐風設計のためには,正確な風力係数の把握が必要である。
(3) 緩斜面に建設された雨よけ施設で最大の被害が生じた。緩斜面では風速が速くなる傾向があるため, 雨よけ施設の設計の際は, 立地条件を考慮しなければならない。
抄録全体を表示