2011 年 55 巻 1 号 p. 9-11
MLPA法は,2002年にオランダのSchoutenらにより開発された,鋳型DNAにハイブリダイズしたプローブをPCRにより増幅するという新しい概念の遺伝子解析技術で,1チューブの反応で最大約40種類までの遺伝子領域のコピー数変化(欠失や重複)を定量的に解析できる手法である.従来のダイレクトシークエンス法などの遺伝子検査法では,数塩基程度の小さな欠失・重複は検出可能であったが,それよりも大きな領域にわたる欠失・重複は検出することができなかった.しかし,MLPA法の登場により,それが可能となった.MLPA法は臨床検査手法としても認知されておりデュシェンヌ/ベッカー型筋ジストロフィーの遺伝子検査は,保険適用されている.また,遺伝子検査としてだけではなく,CGHアレイやDNAチップなど網羅的探索研究により絞り込まれたターゲット領域を,多検体で検証する際にも簡便に実施できるため非常に有効である.