生物物理化学
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血漿蛋白に關する研究
(I)Harknessの平衡因子について
重松 保彦
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1953 年 1 巻 3 号 p. 185-190,194

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抄録
著者は本論文に於てHarknessのplasma protein equilibrium factor K(H)について專ら理論的考察を行い,これに關して論じたことを要約すれば次の如くである。
(1) K(H)を更に擴張して各分屑を包含せしめ,且その濃度に無關係に%組成のみによつて次の如く規定し得るKを導いた。
K=aαngααgββgγγffn
an+α+β+γ+fn}各分屑の正常%=a+gα+gβ+gγ+f}對象血漿の各分屑%=1假に各系が獨立であると假定すると,本川の脳波のエネルギーに用いた論法を借用して次の樣な推論が出來る。即ちyi(i=1~n)の總和が上限Snを有するものとすれば
SnSni=1yi≧0であつて,n>10の程度では近似的にyixx+dxの間にある確率は
f(x)dx=1/σe-xdx (7)で與えられ,SSS+dSの間にある確率は
F(S)dS=n/SnmSn-1dS (8)である。勿論血漿蛋白ではnは小であるが,α或はγが更に幾つかに分別されつつある現在,これ等の和を唯5個に取り出しているものとすれば上のn=10程度の假定を置いても甚しい誤りではなかろう。即yiを各分屑の濃度とすれば,血漿蛋白の總量がSと考えられる。從つて(8)から期望値即正常値Sn
Sn=∫(9)(10)は成立する。これをPで表わし,P-Pn=Zとすれば,(9)及び(10)は
f(x)dx=1/√2πσe-Z2/2σ'2d2dZ (9')or=1/√2πe-ZdZ (10')である。從つて或る偏つた分布を取る確率の目度として
W=Πnei=1-Zi or Πnei=1-Zi2/2σi'2と置けば
-logWni=1ΔP/Pin or 1/Σni=11/σ'i2(ΔP/Pin)2であつて,吾々のQと同樣な形式になる。若し前者であるならばQとして
Qa/an+Δα/α+Δβ/β+Δγ/γ+Δf/fn (11)後者ならば
Q=1/σa2a/an)2+1/σα2(Δα/α)2+… (11')とおけばQはその偏り方の確率の對數にすることになる。
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© 日本電気泳動学会
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