生物物理化学
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癌とアルカリフォスファターゼ: Kasahara および Kasahara-variant アイソザイム
波田 寿一
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1998 年 42 巻 2 号 p. 103-108

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抄録
正常人アルカリフォスファターゼ(AP)は肝/骨/腎AP, 胎盤AP, 小腸AP, 生殖細胞APの4種類に分類される. 5%PAGEでヒト血清APのアイソザイム(I)を調べると, 陽極側から肝AP, 骨AP, 胎盤AP, 小腸APの順に泳動されるが, われわれは肝癌患者血中に肝APよりさらに陽極側に泳動されるAPIを見いだし, 酵素学的, 免疫学的性質の検討から, 本酵素は胎盤APの変異型と考え variant APとして報告した. その後, FL-羊膜細胞が有する2つのAPIのうちの1つと variant APが同じ性質を有することを明らかにし, 最初の患者の名にちなんで Kasahara isozyme(K.I.)と命名した. ここでは, K.I. の酵素学的, 免疫学的性質, 遺伝子の検討, 糖鎖構造, 臨床的意義, 病理学的知見等について紹介した.
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© 日本電気泳動学会
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