生物物理化学
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濾紙泳動法による附加化合物の検出に関する研究II
交叉濾紙泳動法による附加化合物の検出の原理,操作法,および二三の応用例
上田 務
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1959 年 6 巻 1 号 p. 41-49

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抄録

われわれの考案した交叉濾紙泳動法は,電気泳動によつて濾紙上に二物質を交叉させ,交点が単純な点であるか,それとも特別の形を呈するかによつて,二物質が附加化合物を作るか否かを検討する方法である。この方法を色素と色素,色素と蛋白などに応用して,たしかに附加化合物の検出に役立ちうることを証明することができた。
交叉濾紙泳動法を応用して実際に証明せられた附加化合物は,つぎのごとくである。色素同志では塩基性のメチレンブリューと酸性のオレンジGG,ブロム・クレゾール・グリーン,ブローム・フェノール・ブリューおよびアミドブラック10Bとの附加化合物,フクシンとブローム・クレゾール・グリーン,ブローム・フェノール・ブリュー,およびアミドブラック10Bとの附加化合物。色素と蛋白では血清アルブミンとブローム・クレゾール・グリーン,ならびにブローム・フェノール・ブリューの附加化合物,および血清グロブリンとアミドブラック,オレンジGGならびにメチレンブリューとの附加化合物である。
附加化合物の生成の証明せられなかつたのはフクシンとオレンジGG,アスパラギン酸ならびにリジンと上記色素類,アミノ酸相互間,血清蛋白と卵白アルブミン,卵白アルブミンと色素類である。

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© 日本電気泳動学会
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