抄録
人間がどのように意味を感じるかという根本的な問題はまだほとんど議論されていない。しかし答えは単純で、「意味は受け手が構築していく」ということである。しかし答えは単純で、「意味は受け手が構築していく」ということである。コミュニケーションとはメッセージの送り手の意図が受け手に伝わること、という理解が信仰のように広がっている。そもそもこの前提がなければ、宣伝や広告などありえないし、議論や外交も成り立たないと思っている人が多い。しかし現実にはその前提が怪しいため、なかなか議論が進まず、交渉も成立しない。意味の構築のシステムは有限な要素の組み合わせによって行われることを指摘しておく。同様なことは音声についても起こっており、音素が、音声といった有限個の要素が組み合わせることで、無限の結果が得られるしくみである。そして聴覚によって認知された信号を聞き手が要素に分解して、非連続的な単位として認識される。意味についても同じシステムであることが想定されるので、音素に該当する単位として意味の最小単位である形態素のリスト化により、その組み合わせにより意味が生成されていく過程を模倣できるかもしれない。