日本化粧品技術者会誌
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感情語を用いた快適感の意味構造の分析と測定法の開発
門地 里絵片山 敦引地 聰
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2009 年 43 巻 1 号 p. 10-18

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抄録

生活場面において経験される快さである快適感について,心理的な意味概念のモデルを作成し,測定方法を開発することを目的とした調査を行った。はじめにわれわれは,快感情を表す語を多数収集し,被調査者 (n=239) に快い場面を想定して,感情語に対する評定を求める調査1を行った。その結果,快適感が14因子から構成されることを見出した。次に,調査1よりも多様な快適場面を被調査者に示し,感情語に評定させる調査2を実施した (n=1047) 。その結果,新たに2因子を見出し,16因子構造を同定した。さらに,同じ被調査者に対し,同様の調査を後日に実施し,16因子構造の再現性を確認した (調査3) 。これにより,われわれは快適感の理解に16因子モデルが最適であると結論した。また,これらの因子は,多次元尺度構成法によって,活性—脱活性,生理的—認知的,挑戦・克服—愛情・融和という3次元の意味空間上に布置された。われわれは,今回得たモデルを背景として,感情語から快適感を測定する方法を提案し,この測定法の利用によって,快適感の客観的測定と,全般的な感情概念からみた,個々の快適感の意味づけが可能になると提言した。

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© 2009 日本化粧品技術者会
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