2010 年 44 巻 2 号 p. 133-138
毛髪のダメージ実感は主に触動作による表面の感触により認識されるため,キューティクルの表面状態は感触に大きく影響すると考えられる。これまで毛髪表面状態の感触への影響については毛髪を用いた研究が行われていたが,毛髪は個人により特性・履歴が異なるため精査な検討が困難であった。本研究では個々の毛髪状態のばらつきを制御し,毛髪表面の性質・形状を再現した毛髪モデル基板を開発し,毛髪表面の特徴とダメージ実感との関係を調べた。キューティクルの高さ,幅,規則性,親疎水性の異なる4種類の毛髪モデル基板を用いて感触評価を行った結果,キューティクルの間隔が広がるとダメージと認識され,さらに不規則化が進むとダメージの実感がより強く認識され,乾燥状態による評価では形状の違いがよりダメージ実感に影響することがわかった。また,触動作時の基板と指の間の摩擦を測定することによりダメージ実感の定量化が可能なことがわかった。