日本化粧品技術者会誌
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特集総説 乳化技術の基礎と進化 (3)
エマルションの粒子サイズ制御と化粧品機能
岡本 亨
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2010 年 44 巻 3 号 p. 199-207

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抄録
エマルションの粒子サイズコントロールの観点から,乳化技術と化粧品機能について解説した。微細なエマルションの調製技術として,可溶化領域を用いた方法と高圧ホモジナイザーを用いた方法を示した。可溶化領域を用いた方法は,油を大量に可溶化したマイクロエマルションを冷却してナノエマルションを得る手法である。また,高圧ホモジナイザーを用いる方法では水溶性溶媒を高濃度含有する水相で乳化することが重要であった。両者とも上手く調製すると界面活性剤と油の比によってエマルションの粒子サイズをコントロールすることができる。可溶化領域を用いる方法はワックスの微細分散に応用され,使用感触の良いヘアワックスに活用されている。高級アルコールと界面活性剤を含むO/W クリームのエマルションの粒子サイズを高圧ホモジナイザーで微細化すると低粘度で透明な製剤に変化する。この技術によりO/W クリームの機能を持ったローションが開発されている。一方,大きなサイズのエマルションは両親媒性の固形油分と流動油分の組合せで得られる。この基剤はみずみずしい感触を持ち塗布とともにエモリエント効果を与える。また,粒子の巨大化によって界面積が縮小した結果,加水分解されやすい酢酸レチノールの安定性が向上した。
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© 2010 日本化粧品技術者会
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