日本化粧品技術者会誌
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毛穴の開大と角層のカルボニル化タンパクおよびカタラーゼ活性との関係
山下 由貴大林 恵岡野 由利正木 仁
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2010 年 44 巻 3 号 p. 216-222

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抄録

近年,目立つ毛穴に対するケアは市場の注目を集めており,毛穴開大のメカニズムの解明とその抑制方法の開発は化粧品技術者にとって大きな課題となっている。本研究は,目視による毛穴開大の印象を表すパラメーターを確定することと,毛穴開大のメカニズムに対する酸化ストレスの関与を明らかにすることを目的とした。はじめに,われわれは毛穴が目立つと認識される毛穴面積を0.04mm2 以上と定義した。また,測定野あたりの毛穴総面積,毛穴平均面積および開大毛穴個数を毛穴パラメーターとして算出し,これらが目視による毛穴開大の印象と相関を有し,さらに毛穴総面積は年齢とも相関を有することを明らかにした。次に,毛穴開大のメカニズムを明らかにするために,角層より得られた有核細胞率,多重剥離度,カタラーゼ活性およびタンパクのカルボニル化レベル (SCCP) の各角層パラメーターと毛穴総面積との相関について調査した。毛穴周辺部全体について解析を行った結果では,カタラーゼ活性を除くいずれのパラメーターも毛穴総面積との相関は認められなかった。しかし,開大した毛穴は下頬と比較して上頬に多く認められること,また有核細胞やSCCP による強い蛍光は毛穴開口部周辺に局在していることが確認されたため,上頬の値を下頬の値で標準化した各角層パラメーター比を算出し解析を行った。その結果,SCCP 比およびカタラーゼ比は毛穴総面積と有意な相関を示した。これらの結果より,毛穴開大のひとつの要素として酸化ストレスが関与している可能性が考えられた。

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