抄録
化粧品は肌を美しく清潔に保つ,老化を防止するなどの本質的な機能の部分に加え,使用者が精神的に充足感を得るという内的心理的側面を持ちあわせている。同様にパッケージにおいても包装容器としての機能性 (品質保持・安全性等) である本質的な役割を担う一方で,化粧品という嗜好品の魅力を備えたものでなければならない。つまり日常に使用するという日用品に近い側面と非日常な高級品の要素を兼ね備える位置づけになる。このバランスは化粧品のブランドの中でも当然画一的なものではなく,ブランドの位置づけや商品の目的,価格によっても変わるものになるが,そのバランスをとることで成立する非常に珍しいカテゴリーに位置するものと著者は考える。商品作りにおいてこのバランスが重要になるが,それぞれ土台となるものを各論として捉える必要性は必ずある。本稿においてはバランスをとるべきであろうファクターについて概念的に触れ,化粧品パッケージの役割を整理し,各論として,人間工学によるアプローチと感覚に訴える「聴覚」に焦点をあてた研究事例について紹介する。