2012 年 46 巻 1 号 p. 25-32
肌上に擬似細胞間脂質膜を形成する高含水α-ゲルという新しい製剤化技術を開発した。擬似セラミド/高級アルコール/モノアルキルグリセリルエーテルの脂質3成分混合系は,室温において,広い組成でα-ゲル相を形成した。さらに,これら脂質類と擬似スフィンゴシン塩を混合することで,透明な外観の高含水α-ゲルを得た。このゲルは,極めて秩序正しく積層したラメラ構造をとり,見かけ単一相のように振舞うことがわかった。高含水α-ゲルは,塗布乾燥後,肌表面に平滑な皮膜を形成した。X線,電子顕微鏡により,この皮膜は,角層細胞間脂質に類似のラメラ構造であることが確認された。本ラメラ皮膜は,高い保水性と閉塞性を有しており,共焦点ラマンスペクトルにより,6時間後も肌の水分量を高め続けることが確認された。さらに,アセトン/エーテル処理により誘導したモデル荒れ肌試験,2週間の実使用試験を行い,従来のα-ゲル製剤と比較し,落屑,経皮水分蒸散量,角層水分量に対する高い改善効果に加えて,擬似セラミドの肌への高い浸透性も確認された。