抄録
スメクタイトを第4級アンモニウム塩でカチオン交換した有機変性粘土鉱物は,流動パラフィンなどの油分中でノニオン界面活性剤と複合体を形成してオイルゲルを構築することが知られており,このオイルゲルに水を加えて乳化したW/O型エマルションは,スキンケア化粧料やファンデーションなどに活用されている。従来,感触のよいシリコーン油分であるデカメチルシクロペンタシロキサンとシリコーン系界面活性剤を用いて乳化製剤が調製されてきた。本研究ではさらに肌なじみがよくなめらかな感触を持つイソヘキサデカンを用いて安定な乳化製剤を調製することを目指した。イソヘキサデカンのゲル化に適したノニオン界面活性剤を選択した結果,従来よりも少ない界面活性剤量で安定な乳化製剤を構築でき,べたつきが少なくて肌なじみがよい感触のクリームが得られた。また,オイルゲル形成には,有機変性粘土鉱物の層間距離だけではなく,界面活性剤と粘土鉱物との相互作用が重要であることが新たにわかった。