抄録
本論文では,透明感を定量化するための顔画像評価法を提案する。透明感を含む質感・印象の従来的な評価法は,顔のある部分の肌を評価対象として代表させ,その肌の光学特性や画像特徴量を解析するアプローチがほとんどであった。しかし,質感・印象の多くは,顔のある特定の部分からではなく,顔全体や顔の様々な部分の特徴から想起されると考えられる。よって,従来法にかわる全顔画像を解析対象にした新たな評価法が期待される。以上の背景から,本研究では顔画像の特徴抽出に優れる統計的画像解析法を応用した顔テクスチャ特徴の定量化法を新たに開発し,これを透明感評価に適用した。まず統計的画像解析を行う際に必要となる学習用データとして,顔形状がすべて統一されテクスチャのみが異なる形状正規化顔画像データベースを構築した。次に,このデータベースに対して主成分分析を実施し,顔テクスチャの特徴を表す固有空間を算出した。最後に,この固有空間におけるテクスチャの表現特性を利用して,顔のテクスチャ特徴量を定量化できる「固有差分累積法」を開発し,透明感評価に適用した。目視による透明感評価との比較から,本法が透明感を精度よく推定できることが確認された。