日本化粧品技術者会誌
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原著
花弁状ケイ酸カルシウムを用いた高機能UVルースパウダーの開発
秋元 麻衣高橋 和久佐々木 泉
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2016 年 50 巻 1 号 p. 8-16

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抄録

近年,紫外線防御効果の高いサンスクリーン製剤が求められている。その中でも,ルースパウダータイプは塗り直しが容易であり,また,ナチュラルトーンな仕上がりを実現することができるという特長を持つ。しかし,ルースパウダー化粧料は,多量に液状成分(有機紫外線吸収剤等)を配合すると凝集などを引き起こすため,使用感と紫外線防御効果を両立させることは困難であった。そこでわれわれは,特殊な構造を有することで高い吸油性が期待される花弁状ケイ酸カルシウム(P-CS)に着目した。はじめに,吸油量および動摩擦係数測定による感触評価によって,P-CSの最適粒子径の選択を行った。次に,塗擦荷重による,P-CS粒子の崩壊特性および含有液状成分の放出状態,それに伴う紫外線防御効果の評価を行った。その結果,粒子径9 μmのP-CSは,実使用時の塗擦荷重によって粒子が崩壊し,粒子から紫外線吸収剤が放出されて肌上に均一に広がることで,紫外線防御能が向上することが明らかになった。これらの特性を利用することによって,われわれは,優れた感触と使用性を有する紫外線防御効果の高いルースパウダー化粧料を開発することに成功した。

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