日本化粧品技術者会誌
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50 巻 , 1 号
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特集総説 健やかな毛髪を保つ最新のヘアケア技術⑤
  • 萩原 基文
    2016 年 50 巻 1 号 p. 2-7
    発行日: 2016/03/20
    公開日: 2017/03/21
    ジャーナル フリー
    「美しく健康的な毛髪」は多くの女性が望む理想の髪の毛である。しかし,毛髪は日常生活における様々なダメージ(ヘアカラー,パーマ,紫外線,洗髪など)や加齢によって構造や物性が変化し,毛髪の感触や美しさは損なわれていく。そのため,ヘアケアを行うにあたり,毛髪のダメージと加齢に対するケアは重要である。今回われわれは,毛髪のダメージと加齢に関する研究を行い,洗髪により毛髪からメラニンが流出すると髪の色がくすみ,美しさが損なわれること,加齢によるハリコシ低下の原因にはキューティクルに発現するケラチン関連タンパク(KAP5)が関与していることを明らかにした。本稿では上記2つの研究内容について紹介をする。
原著
  • 秋元 麻衣, 高橋 和久, 佐々木 泉
    2016 年 50 巻 1 号 p. 8-16
    発行日: 2016/03/20
    公開日: 2017/03/21
    ジャーナル フリー
    近年,紫外線防御効果の高いサンスクリーン製剤が求められている。その中でも,ルースパウダータイプは塗り直しが容易であり,また,ナチュラルトーンな仕上がりを実現することができるという特長を持つ。しかし,ルースパウダー化粧料は,多量に液状成分(有機紫外線吸収剤等)を配合すると凝集などを引き起こすため,使用感と紫外線防御効果を両立させることは困難であった。そこでわれわれは,特殊な構造を有することで高い吸油性が期待される花弁状ケイ酸カルシウム(P-CS)に着目した。はじめに,吸油量および動摩擦係数測定による感触評価によって,P-CSの最適粒子径の選択を行った。次に,塗擦荷重による,P-CS粒子の崩壊特性および含有液状成分の放出状態,それに伴う紫外線防御効果の評価を行った。その結果,粒子径9 μmのP-CSは,実使用時の塗擦荷重によって粒子が崩壊し,粒子から紫外線吸収剤が放出されて肌上に均一に広がることで,紫外線防御能が向上することが明らかになった。これらの特性を利用することによって,われわれは,優れた感触と使用性を有する紫外線防御効果の高いルースパウダー化粧料を開発することに成功した。
  • 長崎 芙美, 村上 泉子
    2016 年 50 巻 1 号 p. 17-24
    発行日: 2016/03/20
    公開日: 2017/03/21
    ジャーナル フリー
    30代と40代それぞれで年齢幅の近い女性を対象に,見た目年齢と実年齢,肌状態,顔形状,生体指標,肌印象・魅力印象との関連について検討した。その結果,30~33歳,あるいは46~49歳のわずか4歳の年齢幅でも見た目年齢には約20歳の差があることや,目じりのしわ,しみ,たるみが見た目年齢に影響することが示された。年代別では,40代で肌の柔軟性や皮脂量との関連もみられた。また,見た目年齢と顔の形状や生体指標との関連はみられなかったが,肌印象・魅力印象とは強く関連していた。これらの結果から,30代や40代女性の見た目年齢には個人差があり,顔形状よりも肌状態が強く影響していることや,その影響度にも年代差があることが示唆された。
  • 山﨑 奈穂子, 新出 ちはる, 粂井 貴行, 炭田 康史
    2016 年 50 巻 1 号 p. 25-32
    発行日: 2016/03/20
    公開日: 2017/03/21
    ジャーナル フリー
    われわれはリン脂質の構造特性に着目し,その疎水基の膜流動性とリン脂質と共存する物質の角層への浸透性の相関について検討した。膜流動性とは,アシル基の流動性のことを指し,リポソームの2分子膜の親水基近傍や疎水基部のブラウン運動を反映していると考えられている。さらにリポソームと角層細胞間脂質成分との相互作用を評価し,角層浸透メカニズムを確認した。最初に,アシル基が飽和脂肪酸からなるDPPC,不飽和脂肪酸からなるDOPC,1分子中に,飽和,不飽和脂肪酸の両方を有するPOPC,DPPCとDOPCを,1:1のモル比で混合した脂質成分(DP+DO)の計5種類のリポソームを調製した。疎水基部位の膜流動性と共存する水溶性成分の角層への浸透性の相関を確認した結果,膜流動性が高いPOPCおよびDOPCは角層への浸透性が高く,膜流動性が低いDPPCは角層での浸透性も低かった。次に,各リン脂質が角層細胞間脂質の膜流動性に与える影響を評価した結果,各リン脂質の疎水基部位の膜流動性と相関関係が示唆され,POPCが最も高い影響度を示した。以上から角層への浸透性において,リン脂質の不飽和脂肪酸は重要な因子であるが,POPCのように1分子中に不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸の両方が存在し,かつ膜形成において交互に並ぶ構造が,特に効果的に角層細胞間脂質の膜流動性に変化を与え,角層における浸透性を促進すると考えられる。
短報
  • 津村 亜紗子, 齋藤(大塚) 香織, 藤井 範子, 藤田 郁尚, 久原 丈司, 大野 健剛
    2016 年 50 巻 1 号 p. 33-40
    発行日: 2016/03/20
    公開日: 2017/03/21
    ジャーナル フリー
    整髪剤開発においてセット力およびその持続力は最も重要な特性であり,汗や湿度などの水分がそれらを低減させる最大の要因として認知されている。われわれはこれまで,「頭皮脂」が頭皮から毛髪に移行し,様々な剤型の整髪剤のセット力およびその持続力を低下させるという現象を見出した1)。本研究では,高湿度条件下における頭皮脂のセット力に与える影響,および頭皮脂の毛髪への移行挙動について検証を行った。その結果,高湿度条件下において頭皮脂の毛髪への移行が促進され,湿度によって低下したセット力が,頭皮脂によってさらに低下することが明らかとなった。これまで高湿度下において水分のみが整髪力低下の原因であると考えられてきたが,本研究により,水分と皮脂が共存することによって整髪剤のセット力をより低下させることが明らかになった。
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