日本化粧品技術者会誌
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原著
PEG系界面活性剤フリー新規サンスクリーンの開発
大樂 左知子堀江 亘坂﨑 ゆかり
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2017 年 50 巻 4 号 p. 314-320

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抄録
ナチュラル・オーガニック化粧品市場には,高UV防御能を有するサンスクリーンは少ない。その理由の一つとして,紫外線吸収剤は高極性であるため,乳化が困難であることが挙げられる。われわれは,高極性油の乳化に有効である液晶乳化法を用い,安定かつ高UV防御能を有する石油系界面活性剤フリーのサンスクリーンを開発することを目指した。HLB(Hydrophilic Lipophilic Balance)が6.0~12.0のポリグリセリン脂肪酸エステルは,水との二成分系で液晶を形成することが,小角X線散乱測定により確認された。その中で,ステアリン酸ポリグリセリル-10の液晶は,最も高濃度の紫外線吸収剤を内包できることがわかった。紫外線吸収剤内包ゲルを水で希釈してエマルションを調製したところ,乳化粒子径は3.20 μmであった。一方,多価アルコールは界面活性剤のHLBを変えることが知られている。上記の系に1, 3-ブタンジオールを配合したとき,液晶の消失が認められたが,グリセリンを配合したとき,乳化粒子径は0.59 μmとなり,エマルションの安定性が向上した。紫外線吸収剤を10%含むプロトタイプサンスクリーンのUV防御能は,SPF50(ISO法)であり,高UV防御能を有するナチュラル系サンスクリーンの開発が可能となった。
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© 2017 日本化粧品技術者会
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